トマソン報告書#194 本多の足跡 [記憶]
四角い敷石が市松つなぎに内玄関まで敷かれてある。本多が杖でひとつひとつこれを数へて、九十に達したとき、ひたと閉め切った障子に、菊と雲の紋様の白い切紙細工の引き手のある、内玄関の前にその身は在った。