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 クシシュトフ・キェシロフスキー『デカローグ 3 ― あるクリスマス・イヴに関する物語』 (1988 ポーランド) ★★★★☆




 第3話『クリスマス・イヴに関する物語 ― 安息日を覚えてこれを聖とせよ』
 タクシー運転手ヤヌス(ダニエル・オルブリフスキ)はイヴの夜、サンタクロースのかっこうで家族にプレゼントをもって帰る。一見、ごく平穏な家庭のクリスマス・イヴ。そこに3年前に恋人だったエヴァ(マリア・パクルニス)が夫が行方不明になったから一緒に捜してほしいと電話が入る。こうしてかつての恋人同士だった二人のイヴのとんでもない一夜が始まる。
 『デカローグ』の中ではもっとも軽いかな。男と女の機微っていうたらいいのかな、この一晩の間のヤヌスとエヴァの感情の起伏の上り下がりはほんとに見事。あくまで「かつての恋人同士だった」という域を逸脱しない、できないじゃなくてね、しないでおこうというある種おとなの恋愛ドラマなんだね。ラストでお互いのクルマに乗り込んで別れていくときのサインは涙モンです。
 ところでこの『デカローグ』では毎回カメラが替わっている。この『あるクリスマス・イヴ〜』では、『トリコロール 赤の愛』のピョートル・ソボチンスキ。そのせいか、それともサンタクロースのせいなのか、赤の色使いがね。とくに二人の感情のピークに達するときの赤の色がたまらない。そうそうエヴァが乗ってきたクルマも真っ赤の何? こういうときぱっと車種言えるのっているんだよなぁ。
 安息日だからね、掻乱されながらもホッと一息つけるのが、この『デカローグ 3』なのでした。

Dekalog
監督 クシシュトフ・キェシロフスキー
脚本 クシシュトフ・キェシロフスキー / クシシュトフ・ピエシェヴィッチ
撮影 ピョートル・ソボチンスキ
音楽 ズビグニエフ・プレイスネル
美術 ハリーナ・ドブロウォルスカ
出演 ダニエル・オルブリフスキ / マリア・パクルニス / ジョアン・チェプコスカ / アルテュル・バルシス

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2004年01月20日(火)
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