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 ジョエル・コーエン『ファーゴ』 (1996 米) ★★★

 これは実際に起った事件をそのままに描いた映画です。さぶっ{{ (>_<) }}ブルブル
 誘拐の身代金が8万$ですか、110円計算にして880万円、安っ! しかもその誘拐を計画したのと実行犯2人で折半したら、実行犯1人の取り分は220万円。ボクはイヤだな。
 あ、先に書いておいたげますが、エンドロールで、これはフィクションですなどと。。。ハクション。じゃ、最初にぶちあげんなよ。このあたりのノリってのは、ボク的に受け入れられなくて、寒いっ!と感じてしまう。コーエン兄弟ってのは、というか、アメリカの、なんて言うんだろ、ギャグでもないし、お笑いでもないし、アイロニーじゃあないしね、「嗤いをこめた皮肉」とでも言うんでしょか、そういうのって、ほんとボク的には好きでないんでね。
 面倒なので、ネタバレ承知でいきますが、ジェリー(ウィリアム・H・メイシー)は、自分の作ったアナを埋めるために、女房を誘拐してくれと持ちかける。その身代金が、上にも書いた8万ドル。実は、このジェリーってのは、女房の義父(ハーヴ・プレスネル)の会社に雇ってもらっていて全く頭が上がらない。そのアナを埋めるのに、義父に泣きつくこともできずに、その誘拐を企んで、義父から金を搾り出させようというわけですね。その誘拐を請け負うのが、カール(スティーヴ・ブシェミ)とグリムスラッド(ピーター・ストーメア)のでこぼこコンビ。まぁ、凶悪ではあるけれどまともなプロの犯罪者でないから、ドジを簡単に殺人で糊塗してしまう。そこへ登場するのが、ジョエル・コーエンの嫁さんフランシス・マクドーマンド。さすがに自分の嫁さんだけは美しく描いてしまうんだから。
 この映画は、プロットそのもはほとんど意味なんかなくて、考えてみれば、コーエン兄弟の作り出す映画ってのは、ほとんどそうかもしれない。要するに、「嗤いをこめた皮肉」コントを、ひとつのラインに乗せ上げるためにプロットが必要というだけ。だからあまりはらはらどきどきなんてこともないでしょ。その「嗤いをこめた皮肉」をちょちょっと拾い上げてみます。
 マクドーマンドネタで行くと、この女、実によく食うな。カフェテリア形式のレストランで、プレートにがばっがばっと不味そうなアメリカンフードをてんこ盛り。そしてダイエットコーラですか。エイビスのハンバーガーってのもありました。これはたぶんアービスでしょ。そのハンバーガー食ってるところで、ミミズが出てくるでしょ。これって、ミミズバーガーからだよねぇ。ついでに、グリムスラッドが殺したカールをミンチにしてるでしょうが。ミンサーから脚がにゅっと突き出てるの、あれはやり過ぎってもん。あそこまで調子こいたらアカンです(-_-)
 次、執拗に身代金ネタですが、はじめは8万ドルでずいぶん安っぽい誘拐なんだけれど、ここでジェリーが義父に話を持っていくのは100万ドル。一挙に1億1000万。この落差はいったい何なの。しかも、実行部隊には100万ドルに釣り上げたのは秘密にして、まんまと90万ドルからは自分がせしめようと。この身代金の要求に対して、社長の義父と、ジェリー、それから重役の三者で相談してるシーンはいいなぁ。義父は50万ドルにならんかと、身代金値切ろうとする。あんた馬を買うんじゃないからってセリフが効いてるね。ちなみにこういう惡の才覚はあるジェリーだけれど、実際にはあまりにパー、マヌケ。マヌケなところがええんでしょうが、ボクはこの『ファーゴ』でのメイシーは、どうもジム・キャリーなんかを思い出して好きじゃない。入っていけないんんだよ。それと、もう徹底的にバカにしてるのが、8万ドルの身代金と思っていたカールが、92万ドルを雪の中に隠すわな。アホだ。
 雪の白さってのは、この映画で非常に印象的で、本当はそれが支配していればもっともっとおもしろくなったと思うんだけれど、ジョエル・コーエンの切れが逆に邪魔してるような気がして仕方ないね。

 ちなみにCinemaScapeのひゅ〜むさんのreviewがすごく気が利いていたので、まんま引用させてもらっとく。
調子に乗って言葉遊びを続けると、「成功する」を意味する"go far"という言い回しがあります。 ひっくりかえすと"far go"…"Fargo"……つまり「成功する」のアナグラム?それとも「成功する」の逆ってことか?(く、苦しい) ちなみに"far-gone"という形容詞がありますが、これは"go far"とは逆で「症状が進んだ」とか「気が変になった」とか、要するに文字通り「遠くへイッちゃった」という意味です。


FARGO
監督 ジョエル・コーエン
製作 イーサン・コーエン
製作総指揮 ティム・ビーヴァン / エリック・フェルナー
脚本 イーサン・コーエン / ジョエル・コーエン
撮影 ロジャー・ディーキンス
美術 リック・ハインリクス
音楽 カーター・バーウェル
出演 フランシス・マクドーマンド / ジョン・キャロル・リンチ / スティーヴ・ブシェミ / ピーター・ストーメア / ウィリアム・H・メイシー / ハーヴ・プレスネル / クリステン・ルドルード

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2003年12月04日(木)
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