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 ギャスパー・ノエ『アレックス』 (2002 仏) ★★★★☆

 モニカ・ベルッチの名前でレンタル屋に数本並んでいて、ただ1本だけ残っていた。モニカ・ベルッチの名前につられて借りたら、きっとゲロってるんだろうな。DVDの裏に「最も美しいレイプ・シーン」だとか、ウソ八百。レイプって、美しく撮ったら、それでいいものなのか。そういうコピーを平気で書く奴もどうにかしてるけれど、モニカ・ベルッチが「美しくレイプされる」と鼻の下を伸ばして借りた人、ほんとご愁傷様でした。ちゃんと監督がギャスパー・ノエということをチェックしましょうね。間違えても、『マトリックス リローデッド 』→モニカ・ベルッチの流れで見ないように。後悔します。きっと不快感しか残らないでしょう。
 ついでに先に書いておきますが、問題のレイプシーンはオカズには絶対なりません。あしからず。
 《時はすべてを破壊する》ただこのことだけで成り立っている映画なんですよね、これって。そう、ほんとそれだけ。『カルネ』『カノン』にしたって、そうだった。ギャスパー・ノエって人は不器用なまでに、あれやこれやのイメージを盛り込むわけでなく、ただ一点にしぼってストレートに描き上げていく。あまりのストレートさ故に、暴力的であるとか、ダークサイドに踏み込んでしまうわけで、それが人によっては目をそむけてしまいたくなってしまう。だからといって、決して露悪趣味でないのは、もしそうならば、血がびゅびゅびゅっーっと噴きだしたりして、逆に失笑してしまうんだけどね、スーパーリアリズムとでもいうのか、要するに、あるがままに描き出してしまうから、ほんとーに怖い。
 そうして、映画に求められる、見終わったあとの爽快感や正義感などというのも、全く拒絶されてしまってるので、後味の悪さが残ってしまう。こんなのでいいのか。後味の悪さと書くと、あえてどの映画そうだったと書きませんけどね、妙ちきりんに話をねじ曲げて、歪曲してまで、後味の悪さを残したいっていうような映画もあるわけ。だけど、ここでもギャスパー・ノエのストレートさが、この後味の悪さを、何かつきささるもの、見る側に疵として引っ掛かりを残してしまう。怖さの質が全然違う。
 話は、ちょっとしたきっかけで、アレックス(モニカ・ベルッチ)がレイプされ、それを復讐に行った恋人のマルキュス(ヴァンサン・カッセル)は、その相手に返り討ちにされ殺られてしまう、と、もうどうにもならない話で、相変わらず、夢も希望もあたえてくれず、ただ脱力感のみ。そうして《時はすべてを破壊する》の通りに、時間を逆転させて、その直前へ、直前へと戻されていく。。。。こんなんだったのに。。。。。なんとも、またシビアな映画を見てしまったなぁ。
 あ、そうそう、『カノン』の肉屋の親父(フィリップ・ナオン)、健在ですよ〜、 相変わらずですが。

IRREVERSIBLE
製作 クリストフ・ロシニョン / リシャール・グランピエール
監督・脚本・編集 ギャスパー・ノエ
撮影 ベノワ・デビエ / ギャスパー・ノエ
音楽 トマ・バンガルテル
出演 モニカ・ベルッチ / ヴァンサン・カッセル / アルベール・デュポンテル / フィリップ・ナオン / ジョー・プレスティア

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2003年10月29日(水)
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