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 レオス・カラックス『ポンヌフの恋人』 (1991 仏) ★★★

 
 『汚れた血』のれびゅで《『ポンヌフの恋人』で終っちゃった感がなきにしにもあらずのレオス・カラックス》なんて、ついこないだ(7/22)書いたとこなのに、さっさと見てんだから(^_^ゞ その理由は簡単で、この間にパリへ行って、『ポンヌフの恋人』ゴッコやったから、なんていういともミーハーな動機だけ。

 この破滅的な愛の様相ってのは結構好きです。ところが『ボーイ・ミーツ・ガール』から『汚れた血』とレオス・カラックスをたどっていくと、何とも言いようのない虚しさが累積されていく。『ボーイ・〜』で無垢だったものに、『汚れた血』ではうっすらと翳りが見え始める。これはまだ許容範囲ではあった。が、この『ポンヌフの恋人』ではべっとりと厚化粧の施されたあざとさが目立ってしまう。
 なんか見れば見るほどに空虚になって行くのは、どういうわけなんだ?
 確かに美しいシーンは多いよ。実際にポンヌフに立ってみると、なんと絵になる情景か。まるで映画の中にいるみたいとほんとに思ったもの。そのポンヌフが花火で死ぬくらいに彩られ、また雪で覆われる。それ以上の情景は望みようがないだろうね。そしてその中にストーリーをはめこんでみたいと思っても不思議じゃない。だけど、それが落とし穴になってしまうとは。
 非常に美味しい食材があって、そしてその食材に最もふさわしい食器に盛りつける。と、そこまでは良かったのに、それにこてこてクリームぎとぎとのソースをべっちょべちょにかけてしまった。食材そのもの味はどこかへ消しとんでしまった。どこでどう間違えてしまったのか。見ていて辛さばっかりが残る。
 そんなんだから、一番好きなシーンはっていうと、夜中にホームレス親父と美術館に忍び込むシーンだったりするし、あ、海に行ったときに、ミッシェルがアレックスに「海を見ないで、足もとの砂ばかり見てる」ってのにぐさっときたりするんだよなぁ。変かな。そんなふうに美味しい食材=みずみずしい愛の様相がふんだんにあるっていうのにね。

 それはおいといて、ビノシュはボク個人的にはこれか、『トリコロール/青』かな。最近は妙に落ち着いてしまって、それなりにこなしてるって気がしてね。スッピンの女が好きってわけではないけれど、例えば服役中のアレックスに会いに来るシーンなんかスッピンでしょ。いや、スッピンのメイクをしてるわけだから、スッピンというわけではないけれど、元々ビノシュの顔って美人顔なんだから、ああいうスッピンにしたほうがより美人だなぁって思えるわけ。美人を美人に撮ったところでつまらない。
 ビノシュに対してドニ・ラヴァンのほうは、レオス・カラックスがのりうつってしまったようで、カラックス作品と同様に、どんどん見ていてしんどくなってくる。濃ゆいキャラクターゆえに一度カラックスのイメージがとりつくとなかなか払拭できずに、結局、カラックスと心中したようになってしまった。これ以降にも2000年頃になってやっとほかにも出てるようだけど、あまり見たいという気にならない。まぁ、元々、好きな顔立ちじゃないけどね。




LES AMANTS DU PONT-NEUF
製作 クリスチャン・フェシュネール
監督 脚本 レオス・カラックス
撮影 ャン=イヴ・エスコフィエ
音楽 ベンジャミン・ブリテン / デヴィッド・ボウイ / リタ・ミツコ
出演 ドニ・ラヴァン / ジュリエット・ビノシュ / クラウス=ミヒャエル・グリューバー / ダニエル・ビュアン / マリオン・スタレンス
★★★



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2003年09月20日(土)
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