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 ▼ マイケル・ウィンターボトム『バタフライ・キス』 (1995 英)

 淀長さんに言わせると
《近松と鏡花と谷崎そしてオスカー・ワイルドを絹のベールで包んだ泣き叫ぶ恋の悲歌》
 をっとっとっと、何だんねん。わかるようでわからんとはこのことです(^_^ゞ じゃあ、もうひとつ別の言い方をすれば、
《ゴルフ帰りの五十歳男が探偵小説にあきて、ベッドで寝ころびながら、これも三文探偵小説だろうと手にした本が、ビックラギョーテンコッテンパンの小説だったので改めて正座して読み始めたごとき名作》
 あー、このほうが言い得てるな。三文探偵小説ってのはどうだか。それよか、レディコミを小バカにしてたらいけんからね。この映画って、小野塚カホリの世界でしょ。きっと小野塚カホリはこの映画に刺激されてるって。ボク個人的には小野塚の熱狂的とまではいかないけれど、まあまあのファンと自認している50過ぎの変態オッサンなのであります。安野モヨコ、岡崎京子、さらには赤坂真理だったり、そして椎名林檎。ユーニス(アマンダ・プラマー)がシャツのボタンを外すと、ジャラジャラと揺れるチェーンは、十分に椎名林檎の『ここキス』や『本能』などのナースのイメージを連想させないか? こんなふうに書いたら、きっとウィンターボトムのほうからも椎名林檎のほうからも反発あるんだろうな。映画の中でユーニス(アマンダ・プラマー)が"ユー"、ミリアム(サスキア・リーブス)が"ミー"と呼ばれる、一見安易に見えるのもとてもレディコミっぽいんだけど。
 この映画で殺人は是か非かなんて低レベルでの疑問はさしはさむなよな。ひとつの人間の行為の極北として、殺人、それも行きずりの連続殺人が配置されているだけなんだから。
 これは一級のロードムービーだね。はじめにユーニスが道路際を歩くシーン。バックはイギリスの重い空気。この映像にのけぞってしまったよ。そしてラストでコマ落としの編集がされてるでしょ。それはそれでいい。あのまま行ってしまったら、くっだんねぇ〜となってしまうのに、そこから何もいじらない素の映像に戻るでしょ。それがいいんだよね。救われる。

Butterfly Kiss
製作 ジュリー・ベインズ
監督 マイケル・ウィンターボトム
脚本 フランク・コトレル・ボイス
撮影 シーマス・マクガービー
音楽 ジョン・ハール
出演 アマンダ・プラマー / サスキア・リーブス / デス・マッカリー / カティ・ジェイミソン / リサ・ジェイン・ライリー / フリーダ・ドウイ
★★★★★



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2003年02月22日(土)
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