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 ▼ 青山真治『EUREKA (ユリイカ)』 (2000 日)


 みんながみんな、いい、いいってんだからいいんでしょ、ふつうに。そして誰もが言うように長すぎるってんだから本当に長いんでしょ。だって217分っていうとね、「ひかり」で東京-大阪間でさえ見れない。ボクはビデオで寝転がって、前半と後半、2日かけて見てんだから。その間にもコーヒーブレイクありーの、巻き戻して見直しありーの(^_^ゞ そんな不埒に、語る資格はありませんでしょうか(苦笑) できましたら映画館で見て下さい。十分な睡眠と、そして必ず上映前のおしっこだけは忘れずにね。
 あーぁそれでもやっぱり長すぎる。ほんとこれが絶対のネックだな。カンヌに持っていったときに、あちこちから短く編集する気はないのかと言われたらしいけどね。仙頭さんって人、けっこう頑固者みたい。あ、あのぉ、ゴダールはきっかり90〜100分に収めるんですけどね。ひとつひとつのシーンについて、超長回しフィックスってのはわかるんだけど、あっちでもこっちでもとなると、さすがにうんざりだって。特に後半になると疲れてきてるから余計そう感じてしまう。
 あのぉ、前半・後半と2日に分けて見るなんていう邪悪な反則をやってのけた言い訳じゃないけど、この映画の真骨頂は後半のロードムービーなんだよねぇ、少なくともボクはそう思う。例えばね、役所広司がサーフボードを立て掛けたバンの横から公衆電話かけるシーンなんか(かなり最後のほうよ)、『パリ・テキサス』を彷彿させるんだよねぇ。この電話かけ終わったあとも、フィックス&超長回し(^_^ゞ うーん、そのシーンだけを切り取ってみたら、そのフィックス&超長回しってのもわかるんだけど、とにかく長い。あ、前半はなくてもいいです。国生さゆり以外はさささっと流してもらって。あと、「をい、若松」「八幡だよ」も残してほしいんですが、とにかく前半はどんどんはしょってせめて、「ひかり」に乗ってる間に見れるようにしてください。そうしたらボクも★5つつけますって。
 前半が、なんでつまらんかというと、それにぴったりなコメントがCinemaScapeで「カフカのすあま」さんが言うように《非常に登場人物が記号的》なわけ。どういう人物であるかの分担が明確にありすぎて、その役割さえこなしてればいいって感じなのね。あともうひとつ、とくに役所広司の九州弁っておかしくない? それで結構聞き取りにくいんだよね。劇場で見てる分にはちゃんと聞き取れるのかもしれないけれど、家で周囲の雑音の中で見ていると、肝心の話の流れのキーになるせりふが聞き取れなかったら巻き戻して、ん?何て言うとったんだい・・・・あぁいらいらする。やっぱりこれは劇場だな。
 それとこれクロマティックB&Wという映像処理の手法だってね。それで215分ぶち抜いてラストでカラーですか。ボクはこれは白けた。このセピアにしたクロマティックB&Wというのは、ときに色がついてるようにも見えたりする。それはそれで良かった。でね、ラストの阿蘇の大観峰で、すこっとカラーに転じるのだけど、その意図もわかる。だけど、同じカラーにするなら、もっといい色を出してほしいんだよ。個人的なことで悪いが、阿蘇の外輪はすごく好きな場所で、阿蘇の火口には行ったことなくても、この外輪は3度行って、そのうち2度はそこで野宿してる。あんな色じゃなかったね。ひどくそれまでのB&Wをはぐらかされた気になった。
 最後にこれだけは言わせてくれ。バスジャックがこの映画の上りとほぼ同時に起こった。そんなもん、それがどないした、ちゅうねん。そんなんで、この青山真治はすごい!なんて言うなよなぁ。ワイドショーじゃないんだから。


製作 塩原徹 / 長瀬文男 / 仙頭武則 / 滝島優行
監督・脚本 青山真治
撮影 田村正毅
音楽 山田勲生 / 青山真治
美術 清水剛  
出演 役所広司 / 宮崎あおい / 宮崎将 / 斉藤陽一郎 / 国生さゆり / 光石研 / 利重剛 / 松重豊 / 真行寺君枝 / 尾野真千子
★★★★



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2003年01月20日(月)
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