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 ▼ E・A・デュポン『ヴァリエテ』 (1925 独)


 CinemaScapeのせとさんのコメントから

かつては一流の空中ブランコ芸人だったハラー(エミール・ヤニングス)だが、妻(マリー・デルシャフト)が太ってしまい芸ができなくなった。しかたなく港町で船員相手の見世物小屋をやっていたが、みなしごの少女ベルタ・マリー(リア・デ・プッティ)をひきとって芸を仕込む。美しく成長したベルタ・マリーにのぼせ上がったハラーは、古女房を捨てて駆け落ちする。どさ回りを続けるうち有名な空中曲芸師アルティネリの目に留まり、ベルリンで共演し脚光を浴びるが、アルティネリとベルタ・マリーは恋仲になり、ハラーは嫉妬に狂う。
(※ CinemaScapeでは「ネタバレ注意」になっているので、引用でもパッと見えないようにしてます)

 と、こういうあらすじで、元は2時間を越えるものだったらしいが、前半のところで不倫はいかん!ということで、ばっさりカットされて、後半、つまりハリーとベルタ・マリーが夫婦に収まっているところからだけで、55分に縮められたらしい。(115分のバージョンもあるらしいが)
 あらあら、太ってしまったた古女房を捨てて、若い女に走った男が、今度はその若い女房を寝取られ逆上って因果応報な話なんでしょ。それがただの寝取られた腹いせに逆上した男ハリーの悔恨物語に変貌してしまってんじゃないの(-.-;) そんなんありかよぉ。だいたいあまたあるラブロマンスのほとんどが不倫でしょーに、そういう時代だったのかねぇ。現在日本で見ることのできるのは、カットされたほうなんだからしゃあないか。
 それはともかくとして、サーカスシーンはすごい! サーカスったって、怪しげなのがどこどこ出てくるというわけでなく、空中ブランコだけ。それも空中ブランコの技としてはわりとしょぼいのだけれど、役者(スタント入ってるかもしれないけれど)が空中を飛んでるでしょ。今ならスタント使うにしろ、あの高さでは飛ばさないよね。ごまかせるだけの映像処理技術があるもん。そして、なんと空中ブランコから撮影やってしまってるんでしょ。なんとも、凄い!の一言に尽きるね。今なら技術的にいとも簡単にやってのけられることかもしれないけれど、70年前ですよ、70年前。撮影機材のでかさだけでも半端なもんじゃない(どんなんか知りませんが。。。)。
 おまけにそれだけじゃなくて映像をオーバーレイしてるでしょ。これってその当時の映画としての技術の最先端をやってのけてるんでしょ。いま現在の技術と比較して、そんなものと評するなんてとてもできませんって。逆にいまなら、その肝心のところでCG使ってしまって、どっちらけるは必至です。
 ところで、ハラーのエミール・ヤニングス、この人の体型を見るにつけ、どう考えたって空中飛べるとは思えないね。きっと飛んでないだろ。だけど、そんなことはどうでもよくて、この人の凄絶な顔、とくに目、それだけで十分。このリアリズムというか、ドイツ表現主義といったらいいのか、前半をぶっとばされたところで、見ていてきっちりどきどきさせられること請けあいます。
 

Variete
監督 E・A・デュポン
脚本 E・A・デュポン / レオ・ビリンスキー
原作 フェリックス・ホレンダー
撮影 カール・フロイント
美術 オスカー・フリードリッヒ・ヴェルンドルフ
音楽 エルノ・ラピー
出演 エミール・ヤニングス / リア・デ・プッティ / ワーウィック・ウォード / マリー・デルシャフト
★★★★



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2003年01月12日(日)
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