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 ▼ ギイ・ジル『夜のアトリエ』 (1987 仏)

 ギイ・ジルという監督は日本ではほとんど知られてないんだけど、ボクも知らんヨ(苦笑)、なんでもアンドレ・テシネなどと同世代で、もろにヌーベルヴァーグの影響をかぶったとこらあたりってことぐらい。その割にはギイ・ジルの写真を見たんだが老けてたなぁ。もうほとんどどんなんやわからんね(..;) 元々寡作だし、たぶん、この『夜のアトリエ』でも一般受けはしないだろうから。
 さてボク的にはどうかというと、ヤバいんです。見ながら、この映画は否定しないとと思う一方で、非常に好きなタッチの映画なんだよね。白黒、正確には映像処理されて若干青みがかった白黒だからモノクロとでも言うといたほうがいいかも、そのモノクロパートが現在進行形で、たったの一夜のできごとを追いかけていく。つまり画家ジャン(パトリック・ジュアネ)が恋人(フランソワーズ・アルヌール)と別れて、パリの町を彷徨い歩く、というか電話かけまくり(-.-;) をいをい、そんだけ電話かけまくるのだったら別れるなよっと。そして朝を迎えて。。。。
 このモノクロパートにサブリミナル的に挿入されるフルカラーのパート。ここではその現在進行している思考、過去の回想としての映像として映し出される。ひたすらにベクトルが過去へ向けられているわけで、前に向いたベクトルがまったく見当たらないんだよね。これがヤバいと思う一つ。
 それとかなり暗く湿っぽい。これでは絶対に一般受けしない。死を賭けた愛だとかっても、ドンパン派手にやらかしてくれないと感じない不感症時代にあって、中年のパトリック・ジュアネが電話でボソボソ涙流してしゃべりまくってるなんて絶対に受けないでしょ。ほとんど90分間、この調子だと覚悟しといてよろし。ところがドンパン派手なんとボソボソ落涙とどっちかって言われると、もう断然ボソボソ落涙モノなわけで、これを見ながら否定したくてたまらなかったの。あ、あの、それ言わない約束でしょ。。。ってセリフだってぽんぽん飛びだしてね、はい、ボクは見かけによらず、そういう湿っぽい男でございますぅ。
 それと、もうこれは典型的フランス映画で、そのイジイジ感が嫌いなのには10分と見てられないんだろ。んで、何が言いたいんじゃって。ところがもうたまらないのネ、あまりにフランス映画っぽすぎるのが、ボク的にはヤバいと思えるひとつ。人にフランス映画ってどんなんと聞かれたら迷わずにこれを紹介してあげましょう(苦笑) すこんすこんとしたカット割とかがたまらなく好きで、あまりにもきれいにおさまり過ぎている、音楽なんかもあまりにずばっとはまってしまって、すべてにわたって整合しすぎてるので、逆にヤバいと思ってしまうんよ。ラストの電話ボックスが10個ほどそこらに転がってるなんてすごくいいじゃない。
 というわけで、ヤバい、ヤバいと思いながら、やっぱり★は5つ付けざるを得ないんだなとボク的に思ってしまう悩ましい映画なのでありました。


NUIT DOCILE
監督・脚本 ギイ・ジル
撮影 ジャック・プーモンディル
音楽 ヴァンサン=マリー・ブーヴォ 
出演 パトリック・ジュアネ / クレール・ヌブー / パスカル・クラフ / フランソワーズ・アルヌール / フィリップ・デュモン
★★★★★



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2002年12月14日(土)
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