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■ ▼ ジム・ジャームッシュ『ゴースト・ドッグ 』(1999 独,米,仏)
 『葉隠』ですかぁ。。。。それはそれでいいんだけど、はて、日本人、とくにボクのように、「なんちゃら道」と「道」を極めるのが生理的に嫌いな人間にとっては少なからず違和感がある。だから、『葉隠』で、うんうん、その通りと思えるのは、この『ゴースト・ドッグ 』のラストに出てくる「花見の重箱」だけ。 はたしてジャームッシュが『葉隠』をどう捉えてるだか、ラストの「花見の重箱」を言いたいがためにひっぱてきたとは思えない。ましてや、この『ゴースト・ドッグ 』を見るアメリカ人、ヨーロッパ人たちは、「花見の重箱」をラストでひっぱったてきたほうに違和感を感じるんじゃないか。「花見の重箱」より「サムライ」ということばに一種の憧れを感じてしまうんだというのは容易に想像できる。 ジャームッシュも同じように「サムライ」ということばの響きにインスピレーションを感じてこの『ゴースト・ドッグ 』を作ったのだとしたら(たぶんにかのアラン・ドロンの『サムライ』がある)、こんなに理解しやすい映画なんてないだろ。そしてそうなら、ストレートすぎて、極度につまらなすぎる。「花見の重箱」を用意するためにこういう手の込んだことをするには、これを見るのがまず欧米人ということを考えると危険きわまりない。さぁ、どうなんだ? そこんとこはおいといて、ゴーストドッグ(フォレスト・ウィティカー)の目は「サムライ」というには優しすぎないか。ちょっとタレ気味で、どことなく、お兄ちゃん(若乃花)に似てたりもして、ジャームッシュがブラックを起用しようというのはわかるよ。だけど、もうちと悪辣な面構えのブラック、例えばアイス・キューブ(最近のキューブだと×ですが)だとか、がおるだろう。悪辣な面構えであったほうが、ボクは入れ込めたのにと思う。どっちかというとぽっちゃり可愛い系だもん、フォレスト・ウィティカーは。それにくらべてマフィアのおっさん連中の方が悪辣な顔をしておったな。パブエネのフレイバー狂いのソニー(クリフ・ゴーマン)ですよ、彼がフのレイバー真似すんのにはほんま笑えた。その落差がいいのね。ヘンリー・シルバとかのマフィアのおっさんの時代にも、生き様にもずれた感覚、そんなとこを見ているとジャームッシュってやっぱりおもしろい。 それと少しもおもしろくなかったんだけれど、アイスクリーム屋とブラックの女の子、このマイノリティー・トリオのラインがおもしろかった。特にフランス語しかわからないというアイスクリーム屋との「言葉」、結局のところジャームッシュは「サムライ」を表に立たせておいて「言葉」を意識している。そしてさめざめとした月が映ると、なぁんだ、やっぱりジャームッシュはジャームッシュじゃないかとホッとする。女の子とベンチの両端に座ってしゃべるシーンいいよなぁ。ラッショモン・・・・ RZAの出してくる音、好きだから、ごんごんボリュームあげて見てしまいました。
Ghost Dog: the Way of the Samurai 製作 ジム・ジャームッシュ / リチャード・グエイ 監督 ジム・ジャームッシュ 脚本 ジム・ジャームッシュ 撮影 ロビー・ミューラー 音楽 RZA 出演 フォレスト・ウィティカー / ジョン・トーメイ / クリフ・ゴーマン / ヘンリー・シルバ / イザーク・ド・バンコレ / トリシア・ベッシー
★★★★
2002年10月17日(木)
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