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■ ▼ デレク・ジャーマン『テンペスト』 (1979 英)
 先に『ラスト・オブ・イングランド』や『カラヴァッジオ』見てしまってたから、特におどろくわけでもないけれど、デレク・ジャーマンの絵とういうのは多分に絵画的。キャリバン(ジャック・バーケット)が初めに生玉子をつかむところで、果物などが乗せられたかごに手を伸ばすのだけれど、そこなんかは静物画を見せられているような錯覚に陥る。これがどうだかわからないけれど、『カラヴァッジオ』で見せたようなその果物の配置などは何らかの絵画からのコピーなのかもしれない。 『テンペスト』はもちろんシェークスピア晩年のということは知っていても、それがどんなんだかまで知りませーん。何でも見てたり知ってたりするわけないじゃん。だから、なるほどねぇ、『テンペスト』というのはこんなふうだったのだ、シェークスピアの時代だから、呪術・魔術がごく当たり前に描かれていて当然かなどと見ながら考えてた。 元ミラノ大公プロスペロー(ヒースコート・ウィリアムズ)とその娘ミランダ(トーヤ・ウィルコックス)は、プロスペローの弟によって追放されていた。これをプロスペローが魔術によって嵐を起こし復讐を企てるという話なんだけど、どこまでがシェークスピアの原作なんかは知らないよ。なんか、その原作にエドガー・アラン・ポーもかぶっているというらしいけれど、これもようわからん。そんなのどうでもええといえばええわけです。 それはともかくとして、と、いうことは多分に幻想的で、デレク・ジャーマンもそのラインをメインで描いてる。だからかなりキワモノ的に仕上がっているわけで、そうしたキワモノ好きなボクにはうれしい。とくにジャック・バーケットの怪優ぶりったら、それもそのはずでこの人はイギリスの劇団リンゼイ・ケンプ・カンパニーの役者だったのだ。言うてみれば、鈴木清順が麿赤児を引っ張り出したような。もちろん美術においてもかなりキワモノ的でわくわくしてしまうことうけあい。をっと、"Stormy Weather"を歌うディーバはエリザベス・ウェルチ。貫禄勝ちでしゅ。 でもな、ただデレク・ジャーマンは『ラスト・オブ・イングランド』での別種のキワモノの印象が強烈だっただけに、この種のキワモノじゃ満足できないなあと贅沢なこと言う。蝋燭がずらぁーっと並んでるのにしても、一瞬目を瞠りはするのに、「デレク・ジャーマン」という名代にごくふつーっぽくにしか見えないのが辛いなぁ。それにプロット的にもまとまってしまったって感じ。これを先に見てたら、まちがいなく★5つつけてるのに。 余談ですがデビッド・メイヤーが全裸で海から上がってくるときはしっかりボカシ入ってます。が、しかし、酔っ払いのイチモツがぶらぁ〜んと見えるところあるんだよなぁ。
The Tempest 監督・脚本 デレク・ジャーマン 原作 ウィリアム・シェイクスピア 撮影 ピーター・ミドルトン 出演 ヒースコート・ウィリアムズ / カール・ジョンソン / トーヤ・ウィルコックス /デビッド・メイヤー / リチャード・ワーウィック / ジャック・バーケット
★★★★☆
2002年09月15日(日)
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