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 ▼ ホアン・ルイス・ブニュエル『赤いブーツの女』 (1974 仏,伊)


 ホアン・ルイス・ブニュエルはかのルイス・ブニュエルの息子。そして脚本は晩年のブニュエルを支えたジャン・クロード・カリエール(『蘭の肉体』『存在の耐えられない軽さ』、『ブリキの太鼓』、『マックス、モン・アムール』と代表作を並べただけでもどんだけすごいかわかるでしょ)、そして『哀しみのトリスターナ』の変態コンビ、ドヌーブとフェルナンド・レイ。フェルナンド・レイも晩年のブニュエルにはなくてはならない人だったし、それにもまして世界一の性格俳優。こんなすごすぎる人間を集めることができたのは、ずばり親の七光り! 何も知らないでこの『赤いブーツの女』を見たら、ゑ?ルイス・ブニュエルじゃないの、いつから「ホアン」が付くようになったのと思ってしまうこと間違いなし。実際のところ父ちゃんかなり影で動いてたんじゃなかろか(^_^ゞ
 かの『エクソシスト』が73年で、つまり時代はオカルトブーム。というわけで、この息子も『赤い〜』の前後でいくつかのオカルト映画を撮ってるようだけれど知らない。そしてこの『赤い〜』でも、ドヌーブが予知能力をもってたり念力が使える女として、ちょっとオカルトチックな味付け。けれど大筋は大ブニュエルの変態路線。
 ドヌーブがカフェで着ていたコートをぱっと広げると、その下は全裸! 一瞬のことなのでボカシなのかヘアなのかもわからなかったが、ドヌーブの真っ正面からの全裸ですよ、全裸。ドヌーブの全裸が拝めるなんて、これ以外にないよ。どうせスタントだろうけれどね(-.-;) 
 ドヌーブにはつきあってる画家(ジャック・ウェベール)がいるんだけれど、変態富豪(フェルナンド・レイ)はカフェでドヌーブに問題の全裸を見せつけられたことでイチコロになってしまい、彼女を囲おうと画策。そこに出版社の経営者(アダルベルト・マリア・メルリ)もまきこんで、ドヌーブを頂点とした男の三つ巴。こうなると、それはもうねちーっとした大ブニュエルの世界なわけだけれど、どこか、ねちーーっがさらっとしてしまってる。思うに大ブニュエルは彼の映画そのものが幻覚、妄想であったのに、小ブニュエルは幻想を描こうとしてる差なのか。
 こんなふうに、大ブニュエルがでかすぎただけに、つい比較してしまけれど、そのことを抜きにしたらボクは楽しめた。ことこの『赤い〜』に関してはカズシゲ君の域は越えてるね。ドヌーブが一番ピカピカのときだし、一見の価値あり。

LA FEMME AUX BOTTES ROUGES
監督 ホアン・ルイス・ブニュエル
脚本 ジャン・クロード・カリエール / ホアン・ルイス・ブニュエル
撮影 レオポルド・ヴィラセニョール
音楽 セザール・フランク
出演 カトリーヌ・ドヌーヴ / フェルナンド・レイ / ジャック・ウェベール / アダルベルト・マリア・メルリ / ラウラ・ベッティ
★★★☆



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2002年09月07日(土)
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