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■ ▼ ルイス・ブニュエル『欲望のあいまいな対象』(1977 スペイン,仏)
キャッチフレーズ 1 ブニュエルの遺作 2 『女とあやつり人形』の5度目の映画化
まさしく『昼顔』あたりから、これで最後ねと言いながら撮り続けたブニュエル翁の遺作。 ピエール・ルイス原作の『女とあやつり人形』の5度目の映画化で、過去にはマレーネ・デイトリッヒ主演の『西班牙狂想曲』(1934)、BB主演『私の体に悪魔がいる』(1959)があるらしいけれど、どれも見てないからノーコメント さてとこの『欲望の〜』でブニュエル翁はとんでもないことをやらかしてる。それは初めマリア・シュナイダーが問題のコンチータを演ってたのだけれど、ブニュエルは気に入らなかったのか、はたまた思いつきなのか、マリア・シュナイダーを外してしまって、キャロル・ブーケとアンヘラ・モリーナで二人一役演らせ、さらに声は通しで別の声優に演らせている。ほれ、女って二重性というか、楚々とした部分があるかと思うと、いきなりコケティッシュになったりして、これには、ボクもしょっちゅう翻弄されてるんだけれど(^_^ゞ 大筋のところで、楚々とした女のパートをキャロル・ブーケ、コケティッシュな女のパートをアンヘラ・モリーナにもたせてる。この撮り分け、継ぎが淀みないというかスムーズで、よおく見てないと、あらら、いまはどっちだ?とわからなくなるし、すっと入れ替えてしまうんだから。たぶん、マリア・シュナイダーが二通りの女の性を演じ分けることができなかったというのでなくて、撮影に入って、ブニュエル翁が、その点に偏執的にこだわりだしたのじゃなかろかと想像する。 それでこの『欲望の〜』は何かというと、ブニュエル版『痴人の愛』だね。フェルナンド・「瘋癲老人」・レイもますます堂に入って、ルイス・「潤一郎」・ブニュエル世界を創りだしております。ふっと思ったんだけど、このフェルナンド・レイの役どころの名前がマチュ−(Mathieu)、つまり新約聖書のマタイ。クリスチャンでもないボクにはわからないけれど、わざわざブニュエルがマチュ−という名前を選んだのには絶対なんかあるはず。(ん〜、今、調べたら『私の体に〜』ではDon Mateo、『西班牙狂想曲』ではAntonio Galvan ) そしてこればかりはボクがネタばらしするよりも、実際に見て欲しいのでもうこれ以上あんまり書きませんけどね、さすが集大成とでもいうべきかブニュエルネタぶひぶひ(^∞^)...と気をもたせてるのだよ(笑) ちゃんと『アンダルシアの犬』で切り裂いた綻びも縫い合わせてくれるしね。いや目ん玉の縫合手術が映されるんじゃないです、安心してください(笑)
CET OBJECT DE DESIR 監督 ルイス・ブニュエル 製作 セルジュ・シルベルマン 原作 ピエール・ルイス 脚本 ルイス・ブニュエル / ジャン・クロード・カリエール 撮影 エドモン・リシャール 出演 フェルナンド・レイ / キャロル・ブーケ / アンヘラ・モリーナ
★★★★★
2002年08月25日(日)
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