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■ ▼ アキ・カウリスマキ『パラダイスの夕暮れ』 (1986 フィンランド)
この監督のは一度はまるとたまらないね。それととくにカティ・オウティネン。絶対に、お世辞にも(なんもそんだけ念押しすることもないが)美女と言われる女優じゃないけれど、彼女のぼそぼそとしたしゃべり、それにもまして無言での演技が光っている。 ニカンデル(マッティ・ペロンパー)とイロナ(カティ・オウティネン)の出会いがすごくいい。まったくもってドラマチックじゃない!そのアンチドラマチックな出会いがたまらない。たまたまスーパーに買物にきた風采の上がらない男ニカンデルの腕から血が流れているのをスーパーのレジをやってたこれも冴えない女イロナがぼそっと「手当てしたげる」 このぼそぼそ感ですね。かっこいい男とモデルかいなと思わせる女が出会ったところで勝手にやっとけとしか思わないデス。屈折してますか? ニカンデルの仕事がゴミ収集というのもいかにもカウリスマキっぽくて、それより『マッチ工場〜』でも見せたカウリスマキのメカニック好きはすでにこのゴミ収集車のメカニカックですでに始まってたのね。まさに機械的、無機的であればあるほど、人間の有機的な部分が引き立ってくる。ま、それもひとつの狙いだろうけれど、それ以上にカウリスマキはメカニック好きと見た。 初めてデートに誘ってニカンデルが連れて行ったのはビンゴ屋。これ、若い人にはわからないけれど、ビンゴの札を買って、お姉さんが選んだ数字で1列並んだら景品がもらえるというゲーム。10年ほど前までは新世界にもあった。映画を見てもわかるようにどう見てもいまの若い子が好んでする遊びじゃない。悲哀を帯びてます。それにニカンデルの仕事の相棒(サカリ・クオスマネン)が、子どもの貯金箱から金をくすねてニカンデルに貸してやるなんて涙がでてくるよ。 とにかく冴えない、冴えない。フィンランドってこんなにも景気が悪いんかと思わせるくらい、この『パラダイス〜』でも、スーパーのレジを馘になってしまうし、馘になったいきおいで二人でドライブに出ていくところなんか、ボクはどっか『気狂いピエロ』を思い描いてたりもしたし、どこかほろ苦く切ない。胸キュンになるならこんなのでなってほしいやんね。二人の初キスのシーンなんてどきどきしてしまう。 最終的に予定調和で終わるけれど、このカウリスマキ的予定調和はすごく好き。舐めれば舐めるほど味が出てカウリスマキ
Varjoja paratiisissa 監督・脚本 アキ・カウリスマキ 撮影 ティモ・サルミネン 美術 ペルッティ・ヒルカモ 出演 マッティ・ペロンパー / カティ・オウティネン / サカリ・クオスマネン / エスコ・ニッカリ / キッリ・コンガス
★★★★★
2002年08月14日(水)
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