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■ ▼ ウィリアム・ワイラー『嵐が丘』 (1939 米)
ボクが文学少年だったころ、2回読んだんだよなぁ。文学少年だった頃のボクといえば、今にして思えばもっとさらっとしておったのですよ。嫉妬に狂ってヒースクリフが荒野を彷徨ってという段になってなんかくたばってたような記憶が。それでもう一度、今度はもう少しこてこてになってから読んだの。とにかく原作は長かった。やっぱり後ろの方でだいぶくたばってた。なんかしんどいなぁという記憶だけ残って。。。。 ちょっと前にピーター・コズミンスキー監督でジュリエット・ビノシュがキャサリンの『嵐が丘』も見たんだけどこれはつまらなかった。中世、荒野を意識しすぎというたらいいのか、セットなどもそれらしいだけで逆にわざとらしくて。あ、あっちの音楽は坂本龍一だったのだ。ふぅ〜ん。 さてと全部で6つある『嵐が丘』のうち、一番古い、つまりオリジナル・バージョンがこれ。それなりにって感じなのかなぁ。こういう文芸大作モノというのは、どうしても原作が先に立ってしまうから見ていておもしろくない。原作でネタばらしされているようなものだから、いきおいどう表現するんだろうってところに目が行ってしまって、だから同じ『嵐が丘』でもブニュエルのだったら、きっとおもしろいはず。でもブニュエルのなんてめったにお目にかかれんもんなぁ。だから見てないから何とも言えない。 話をウィリアム・ワイラーのに戻すと、やけにマキが入ってるなぁという印象。はしょってる。でもこれは仕方ないかもしれないし、ピーター・コズミンスキー版のようにだらだらとするばっかりでピントぼけしてしまってるのに比べると、ずっとシンプルにまとめあげてるなと思うし、幼いころのキャサリンとヒースクリフが馬に乗って荒野を駆け抜けていくシーンなんか爽快でいい。だけどそうした爽快な分、逆に原作のもつ重苦しさが薄められてしまってあっさり風味。 それでもきっちりキャサリンの臨終のシーンをばっちり決まってる。あのシーンはこうでなきゃね。さすがローレンス・オリビエってところ。これ、ローレンス・オリビエの初主演作だってね。このシーンだけでも見る価値ありだな。それでここでぷっつりジ・エンド。あれあれって、ここからどんどこ重く重くなってくところなのに、ほんと拍子抜け。なんだかヒースクリフの狂的粘着質が見れないまま、ローレンス・オリビエの狂気を見てみたかった。 だから文芸大作モノというのはイヤなんだよなぁ。これでも映画としてはいちおうのまとまりがついてしまうもの。
Wuthering Heights 製作 サミュエル・ゴールドウィン 監督 ウィリアム・ワイラー 脚本 ベン・ヘクト / チャールズ・マッカーサー 撮影 グレッグ・トーランド 美術 ジェームズ・ベイスビィ 音楽 アルフレッド・ニューマン 出演 ローレンス・オリビエ / マール・オベロン / デビッド・ニーブン / フローラ・ロブソン / ヒュー・ウィリアムズ / ジェラルディン・フィッツジェラルド / ドナルド・クリスプ
★★★
2002年05月24日(金)
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